山咲梅太郎さんのオークスからは5冊目の単行本。電子化前後の『華陵学園初等部』掲載作であるシリーズ連載(09年12月〜11年6月)と、前作「それ何てエロゲ?」の宣伝で描かれた4頁漫画の計11本を収録しています。
 描き下ろしはヒロイン6人による大股開きカラーピンナップ。あと、チャプターの合間にファンクラブ通信の体裁でシーンが再構成されていたりしています。

 基本的にこのシリーズは、アイドルグループ「P☆P(プリズム・ペンタ)」のメンバー5人を中心にして、彼女らを取り巻く人物との交流を描いたオムニバス作品…だったのが、途中から前作「それ何てエロゲ?」の登場人物が絡んできたり、最終的には前々作「巫女^2さいたま」以前のキャラクターもカメオ出演で登場するなど、あとがきにもあるように「5年間の集大成」的な作品となりました。

 収録作品は、幼馴染の少女が人気アイドルになって寂寥感を感じていた少年と失敗だらけでアイドルとしての壁にぶち当たっていた悩める少女が思い出の場所で再会Hする『世界で一番…』、ボーイッシュ(だけどかつて骨髄移植を経験)少女が脳腫瘍で倒れた恩師のためにHな方で一肌脱いだ『私の☆王子様』、「P☆P」結成以前に2人組ユニットを組んでいた少女同士が友情以上の愛情を深め合う『ずっと一緒に』、「それ何てエロゲ?」の主人公の少年がコネで「P☆P」の体験取材に行ったらアイドルのストレス解消3Pに巻き込まれた(♀→♂→♀で連結(汗))『潜入!P☆P夏合宿』、リーダーの実家のメイドカフェでのPV撮影の休憩中に「世界で一番…」のカップル+リーダーがメイド3P(69はともかくペットボトルへの放尿プレイも!)する『私のご主人様』、「それ何てエロゲ?」の少年が今度は前話のメイド喫茶に取材に行ったら多数のメイドさんに寄ってたかってスペシャルプレイされる『すいーとほーむ』、新メンバーの補強(「それ何てエロゲ?」のヒロインの1人)で病弱な自分がメンバーから外されることに納得しつつも寂しさを隠せないボーイッシュ少女…の裏で同じ事務所の先輩であるスーパーアイドルの少女(補強される子の姉)が新マネージャー選びのために候補の男たちと大乱交を繰り広げる『ナッキーはつむじ曲がり』、実は登場人物全員の共通点だった児童養護施設の取り壊しの前にその姿を目に焼付けに行ったスーパーアイドルの少女が(同じ事を考えて思い出作りに盛っていたメンバーにあてられて)妹との回想Hと同時進行で百合4Pする『大切な場所』、新事務所の完成を祝って事務所の少年社長と秘書姉がアイドルコスプレでご褒美H…していたら所属アイドル8人も参加してきた『サプライズ×サプライズ』、そしてさらに少年社長への感謝と慰労で新ユニット28人(!)もHに参加してくる大乱交大団円『チャイドル☆マイスター』。
 あと『宣伝乙』は前作「それ何てエロゲ?」の宣伝4ページをセリフ修正で収録したもので、混浴温泉で眼福するお話。

 「枕営業や男子アイドルとの絡みはしない」という初期コンセプトを最後まで守り通した…のですが、そこは「華陵」世界の女の子なので性的モラルはゆるゆり、もといゆるゆるで(汗)、彼氏持ちの2人の子も結構簡単に他人に体を許してしまっているのはご愛嬌(まあ男の子のお尻掘ったり、社長にふぇらで恩を返した程度ですが)。

 ストーリーの締め方や伏線の引き方を見るに、事務所の少年社長がシリーズ全体の主人公のポジションのはずなのですが、彼がそのポジションであることが明確になるのがシリーズ終盤の『大切な場所』以降で、それまでは「存在感のある脇役」に留まっていることもあり、ストーリーの核の部分があやふやになってしまっている感が否めません。さらにもう一つの核である養護施設の設定は『ずっと一緒に』の段階で登場しているのですが、印象付けはさほど強くなく、加えて、メインヒロインだったはずのP☆Pの存在感が『すいーとほーむ』以降薄くなっているのもそれを助長してしまっている気がします(かといってメインヒロインに浮上した秘書姉の存在感も薄く…ナッキーの強烈な存在感に食われたなぁ)。強烈な設定持ちであるボーイッシュの子以外の子のキャラがあまり立っていないのが、最終的にナッキーに食われてしまった原因かもしれませんね。

#まあ「連載」ではなくて「世界観が同じ読み切り集」として捉えれば、後半P☆Pがフェードアウトしたり、途中で「それ何てエロゲ?」の少年がメイド喫茶でスペシャルサービスを受けてウハウハなお話が挿入されていても、そこまでおかしくはないですが。

 Hシーンはさすがベテランの手馴れた技で、おかずとしては良好に構成されています。特殊プレイについてはアイドルコスは当然として(ただしシリーズを通しては2回のみ、しかも1回はP☆Pのメンバーではなく社長の姉なので文字通りのコスプレ)、ペットボトルへの放尿鑑賞、(メイド喫茶の子が)一列に並んでの割れ目ご開帳、スク水大乱交、幼女時代に綿棒挿入(汗)と、特殊さを全面に押し出さない程度に展開。あと注意点も兼ねますが、『ずっと一緒に』や『大切な場所』に加えて、ラストの30以上Pシーンでもほとんどが女の子同士の絡みであり、意外と百合指数が高いのも(良くも悪くも)ポイントになっています。

 また山咲さんらしいのは、ソマリアとソマリランドの区別がちゃんと付いていたり、ボーイッシュの子の骨髄移植設定をちゃんと下調べしてある点ですね(移植しても完治するわけではない、というのを話に組み込んでいるのは芸が細かい)。そして科学考証がしっかりしているのに、キャラ設定の方で「なんじゃそりゃ!」というオチがぽーんと出てくるのも山咲さんらしいと言いますか(笑)。

 ということで、オークスにおける山咲作品の集大成としてはまずまずなものの(実質「それ何てエロゲ?」の番外編っぽくなってしまっているし)、アイドルユニットものとして前半展開された部分は終盤で雲散霧消してしまうので、そこに期待をかけると肩透かしを食らってしまうかも。
 あと随所にある多人数プレイも、4P以上となると「女の子に順番に出し入れする」以上にはあまりなれていないので(まあ比較対象がはんざきじろうさんや赤月みゅうとさんになる現状では、多人数プレイのハードルはかなり上がってはいるのですが…(汗))、ハーレムプレイも過度の期待は禁物ですね。画面は華やかではありますが。
 
 全体の完成度は前作「それ何てエロゲ?」よりも高めなのですが、オススメするには注意点も多く、評価の難しい作品集でありました。

#ところで、帯にある「新作描き下ろし」って…どこ? ピンナップは当然として、『世界で一番…』の前にある巻頭カラー2頁のことだろうか…?